死にたくなったら電話して 感想

こんにちは、読書大学生です。

今回は、李龍徳さんの「死にたくなったら電話して」についてのネタバレを含む感想を書いていこうと思います。

この作品は、タイトルにびっくりして、前情報を一切得ずに読み始めました。

なので作者さんの文集の癖や、大まかな内容などは全く知らなかったのですが、するすると読み終えてしまいました。

あらすじ（裏表紙）

「死にたくなったら電話して下さい。いつでも。」

空っぽな日々を送る浪人生・徳山は、ある日バイトの同僚に連れられて十三のキャバクラを訪れる。

そこで出会ったナンバーワンキャバ嬢・初美から、携帯番号と謎のメッセージを渡される。

猛烈なアプローチを怪しみも、気がつけば、他のことは何もかもどうでもいいほど彼女の虜に。

殺人・残酷・猟奇・拷問・残虐・・・・初美が膨大な知識量と記憶力で恍惚と語る「世界の残虐史」を聞きながらの異様なセックスに溺れる徳山は、やがて厭世的な彼女の思考に浸食され、次々と外部との関係を切断していきー。

ひとりの男が、死神のような女から無意識に引き出される、破滅への欲望。

全選考委員が絶賛した圧倒的な筆力で、文学と人類に激震をもたらす、現代の「心中もの」登場！

めちゃくちゃ重たい。ナチスや魔女狩りの話がなかなか詳しく書いてあるから、そういう話が苦手な方は避けたほうがいいかもしれません。

居酒屋のバイト仲間や、親友、浪人生の先輩たちの嫌な部分が生々しすぎて、人間観察力や文章力に震えました。（笑）

何か特徴があって、悪目立ちする部分がある嫌な奴なら表現のやりようがあるだろうが、この作品の人物のように日常に潜むちょっとした嫌な感じを表すのがものすごく上手。

そして一番つらいのは、徳山や初美が言っている怖いことが結構的を射ているのではないかと思ってしまう自分がいること。

誰もがふと感じる不満や不快感を表現しているからこそ、誰もが共感でき、なおかつ、徳山のようにあるきっかけで恐ろしい感情に左右されてしまう危険性を感じた。

この主人公は浪人生だったから、元浪人生の自分には刺さりまくりました。

入学金の振り込みとか、小さいことでも共感できる分、小説の人物との共通点があると、のめり込み具合がものすごく増す。

そういう意味もあって、おすすめの方に居酒屋バイトや浪人生を含めました。

最後の最後に形岡（バイト先の先輩）からの救いのメールが来て、ひょっとしたら一気にハッピーエンドに流れてくれるのかと期待したが、やっぱりだめでした。

結論は読者任せだと思うんですが、個人的には入学金の百万円は初美が隠し、貯金をなくすことも大学合格で幸せの絶頂にすることもすべて計算通りだったと思ってます。

絶対に先延ばしとマルチ勧誘はダメ！

マルチ勧誘は親友であればあるほどダメ！

関連！　と言えるほど、密接にかかわってはいないんですが、

初美は外見がいいことも制約というか、デメリットととらえているため、

「タイタンの妖女」を連想しました。

これはおまけ（こじつけ）なんですが、優しい人やいつも面倒な役回りをやってくれる人が、ふとこれまでの蓄積で爆発してしまう話という意味で、

東京０３の「蓄積」

をあげておきます。（笑）